看護學講座
個人衞生
橋本 寛敏
pp.52-57
発行日 1947年10月15日
Published Date 1947/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906250
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
視力と聽力の保全
生きて居る動物には感覺があり,それで自から住む環境の状況を知り,又自らの體の状態を知つて,それに即應する活動をする。眼の視覺,耳の聽覺,舌の味覺,鼻の嗅覺,皮膚の知覺,四肢の深部知覺(姿勢,運動の調節に役立つ),内耳の平衡感覺,内臟の臟器感覺等はわれわれ人間の有つ主なる感覺であるが,これらは動物に比して必ずしも鋭敏だとは限らない。併し人間で特に發達して居る精神作用に關係の密なる感覺は,それと連絡して働く時に他の動物より遙かに優れて居る。その意味で視覺と聽覺が重要である。幼少の頃から,此二感覺が妨げられて居ると,精神の發達が遅れ且つ不完全になる。而して人間らしい生活の營みをなすに支障を生ずる。それでこの二感覺を保全し又發達させることは,即ち人間性を保全し,發達させることに,直接關係する。
Copyright © 1947, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.