看護學講座
榮養學
原 實
pp.35-37
発行日 1949年1月15日
Published Date 1949/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906422
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第2章 食品概論
吾々が毎日の榮養を完全に維持し補給してゆくためには,必要とする榮養素を必要量だけ毎日食品から攝らねばならない。是等食品の種類や量は其時代の變遷と共に,又文化の進むと共に多少づつ變つてゆくものである。
交通の不便な且つ文化の程度の低い時代においては,限られた食品を利用するに過ぎず太古の原人時代,石器時代の如き,火食を知らなかつた時代と火食時代以後の食生活の間には相當判然とした榮養上の特質が觀察された事と想像される。其後狩獵時代,牧畜時代,漁業時代,農業時代と食品生産の状態が多少推移するにつれ漸次榮養状態も變化した事であらう。斯樣な食物の文化史的變化を觀察するのも興味ある事である。近代人の文化の向上,感覺の複雜化と共に嗜好的にも變つて來てをり,食品の種類は益々増加しつゝある。
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