看護學講座
婦人科學
糸井 一良
pp.38-48
発行日 1949年1月15日
Published Date 1949/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906423
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第六構 女性器の腫瘍
腫瘍は女性器疾患中炎症に次いで頻發するものであつて且つ自然治癒の希望はなく,生命的危險のある點に對して重大なる意義がある。
腫瘍の發生的原因は身體の他の部に發生する腫瘍と同樣に今日の所尚ほ判明しないが偶々組織中に濳在する幼若なる細胞例へば胎生的細胞又は退行變化せる細胞等が或る種の刺戟を受けて急激に發育増殖するものと考へられる。其の發生的刺戟となるものには性的刺戟もあり,卵巣内分泌の影響もある。殊に女性特有なる月經・妊娠・分娩等は發生の動機を助長するものである事は明かである。但し未婚婦人にも決して少なくはない。尚ほ年齡的關係及び遺傳的關係の存在する事も統計的に示されて居る。
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