看護學講座
榮養學
原 實
pp.55-59
発行日 1948年10月15日
Published Date 1948/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906391
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第7節 消化吸收
1,口腔の消化
食物が口中へ入ればまず噛み碎かれ所謂咀嚼が行われる。其の時唾液の分泌を伴わない,澱粉性の食物,例えば米飯やパンや芋類の調理したものに働いて消化の第一歩が踏み出される。即ち多糖類に唾液中のプチアリンの如き糖化酵素(ヂアスターゼ,アミラーゼ)が作用して麥芽糖の如き糖分を分離するため甘味を増す。此働きを糖化作用と云う。此樣な化學變化が行われる一方,食物が齒によつて細かくかみ碎かれるので食片の表面積は廣くなり,消化作用が速かに行われる。そして同時に唾液中の水分が食物の可溶成分を溶解することも大事な働きである。此樣な機械的作用による物理的變化も相伴つて消化に役立つている。
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