特集 こうして変えたベッドサイドの環境
環境調整は重要な看護技術—求められる技術学としての体系化
川口 孝泰
1
1兵庫県立看護大学
pp.540-544
発行日 1999年6月1日
Published Date 1999/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905856
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求められる環境調整技術
これまで看護実践は,対象者の身体的要素のみにとらわれすぎてはいなかっただろうか.それは,これまでの日本における看護教育が病院看護婦養成であったために,教育内容のほとんどが人間の生体内環境の理解を中心とした医学的教育で占められていたことに起因していると思われる.
現代の医療は,QOL(Quality of Life)やインフォームド・コンセント,あるいは病名告知や臓器移植など,人間の尊厳にかかわる課題に直面している.そこで人々はどのようにしたら自分の人生をまっとうし,幸せな死を迎えられるかを真剣に議論しはじめており,人々の健康観も大きく変わろうとしている.このような状況において看護専門職は,対象者の身体的要素にとらわれすぎることのない環境調整技術を実践していく必要に迫られているのではないだろうか.
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