主張
次に求められる施設機能の体系化とは何か
O
pp.761
発行日 1993年9月1日
Published Date 1993/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900449
- 有料閲覧
- 文献概要
先の医療法の改正において,特定機能病院と療養型病床群の病院制度が導入され,すでに実施に移されている.周知のようにこれらの制度は申請による適用となっており,現段階ではその立ち上がりは決して芳しいものとは言えない.大学病院から特定機能病院への申請が未だ1件もなく,療養型病床群についても様子眺めの気配が強いという現況は,一部に今回の改正が本当に必要であったのかという疑問を示す向きもあると言われる.
しかし,その立ち立ち上がりが鈍い大方の原因は,実質的に医師養成の機能を担っている大学病院や,医療の枠の中に福祉も抱え込んできた我が国の一般的な病院にとって,両制度が,それぞれの積年の問題を一気に解決するほどの包容力のある受け皿ではなく,何よりも限られた財源の下で設定された診療報酬が,理念的にも経営的にも,素直に受け入れられる形となっていなかったところにある.これは,高度医療機能を制度的に特化し,長期療養サービス体系を区分する方向の意義を損なうものではなく,状況の転換の困難性を示すものと見るべきであろう.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.