連載 薬理学―見方をかえたら・5
薬と食事の“食べあわせ”について
堀 誠治
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1東京慈恵会医科大学薬理学講座第1
pp.767
発行日 1998年10月25日
Published Date 1998/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901920
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古くより“医食同源”とは,よく言われていることである.健康維持における食事の重要性は言うまでもない.とくに,健康食品なるものの氾濫している現在,食事に気をつけている人は多いと思う.また,食べ物のいわゆる“食べあわせ”については,多くの人が気にしてきた.さらに,薬と薬の“食べあわせ”,薬物相互作用は,ショッキングな事件の出現で,一般に多くの人が注意をしている.しかし,薬と食事の“食べあわせ”については,比較的注目されないのが現実ではないだろうか.薬物相互作用に関しては,機会をあらためるとして,今回は,“薬”と“食べ物(飲み物)”の組み合わせについて考える.
抗凝固薬であるワルファリンを使用している患者に納豆を食べさせてはいけないということは,教科書にも書かれており,また,臨床の場でもしばしば注意されることである.ワルファリンは,ビタミンK依存性凝固因子の合成を阻害し,抗凝固作用を発揮するものである.納豆は,可食部100gあたり870μg(糸引き納豆)とビタミンK含量が多くなっている.そのため,納豆を食べることにより,ワルファリンの効果が減弱すると考えられている.
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