連載 看護相談学のすすめ・2
看護相談は何を目指すのか?
宮本 真巳
1
1東京都精神医学総合研究所医療看護研究室
pp.754-759
発行日 1994年8月1日
Published Date 1994/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904615
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はじめに
前回は,看護相談学の方法論的な前提と,看護相談という実践の枠組みについて述べたが,その主旨を要約するとともに今少し敷衍(ふえん)してみよう…….
保健・医療・福祉の専門職は,健康上の困難を抱えた人々から援助を求められた際,カウンセリング,心理療法,ケースワーク,行動療法等のさまざまな面接技法を駆使してクライエントの相談にのる.そして,これらの面接技法の背景には,“診断主義”,“機能主義”,“行動主義”という3つの流れがある.日本の看護教育は,いずれの面接技法についても,またその背景となる流れについても専門的な訓練の機会を十分に提供してこなかったが,現実に行なわれている看護相談は,3つの流れがそれぞれに担ってきた役割を併せ持っている.だからといって,看護相談が面接の諸技法に還元されてしまうわけではないし,看護者は面接の諸技法から学ぶ必要がないというわけでもない.さまざまな面接技法から学べる点を吸収しつつ,看護相談が成り立つ場や求められる状況にふさわしい,看護職に独自な技法の確立と,その理論的な裏づけが必要である…….
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