連載 世界の感受の只中で・11
ケア・4
天田 城介
1
1立命館大学大学院先端総合学術研究科
pp.248-252
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101223
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「はっきりいって,いまの世とは,表舞台を闊歩できる『健康を称賛される人たち』と,裏舞台に放置されて『死ぬのを期待されている人たち』に,次第に二分化されているのではないだろうか.それ以上に,これまではひそかに家族から死を期待されながら,世間体や愛憎の記憶にはばまれてかろうじて殺されないできた人たちに,制度として死が勧められようとしていることも,具体的に伝わってくる.決して安楽死や尊厳死が法で認められたというわけではないし,そんな話題が世の中で語られることもめったにないのに,生きるのに必要な医療が受けられない,生きるにも死ぬにも居場所がない.社会や家族の重荷となる人たちは死んでいくしかないという状況に向かう道の,事実上の第一歩を踏み出しているように思われてならないのである」(向井2003:11)
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