特集1 どうする?静脈注射 たしかめたい安全と安心
看護職による静脈注射の実施に関する日本看護協会の立場
國井 治子
1
1日本看護協会
pp.348
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100949
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先の厚生労働省通達(2002年9月30日医政発第0930002号)に先立ち「新たな看護のあり方に関する検討会中間まとめ」が提出され,9割の看護師が静脈注射を実施しているという調査結果があきらかにされました.この実態に目をつむることはできないと思います.厚労省通達が出されて以降は,医師の業務を押しつけられることになるのではないかという反発もみられます.静脈注射は看護の範疇であるといわれても,診療報酬のバックアップがあるわけでもなく,これまで看護職が受けてきた教育からみても限界があります.現場の看護職や管理者が抱えている葛藤は大きなものがあります.
しかし,実態を直視し将来を考えるならば,静脈注射を実施するか・しないかにこだわるよりも,安全に実施するためのさまざまな整備を通じて信頼を高めることのほうが,将来的に国民の健康や医療に看護職として貢献することになるのではないかと思います.看護職はこれまで,静脈注射は医師の業務であるとして積極的にこの面での安全対策や質の担保に努めてきたとはいえません.そうしたことの反省の上に立って,積極的にこの問題に取り組んでいかなければならないと思います.
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