特集1 どうする?静脈注射 たしかめたい安全と安心
静脈注射における責任とは何か―看護職による静脈注射に関する歴史的経緯と法的関係
石本 傳江
1
,
宗正 みゆき
1
,
長谷川 浩子
1
,
迫田 綾子
1
,
兼安 久惠
1
1日本赤十字広島看護大学
pp.322-330
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100946
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はじめに
わが国においては,看護職が静脈注射を行なうことは1951(昭和26)年の厚生省通達(医収517号)によって,行政的には看護業務の範囲を越えるとされてきた.しかし司法は「業務上の範囲である」との解釈をしており,行政と司法の解釈の違いを呈したまま,医療上のニーズにおいて,現実的には看護職が静脈注射を施行せざるを得ない状況で50年が経過した.この間,高度医療の発展や在宅医療の普及を背景に静脈注射へのニーズはますます増大し,一方では静脈注射による医療事故の多発が問題となり,看護教育の見直しが迫られる事態が生じた.厚生労働省は平成14年9月30日付けで「新たな看護のあり方に関する検討会」の意見をふまえて,行政解釈を改訂するに至った.
本稿では,看護職の静脈注射実施に関するわが国の歴史的経緯を概括し,また諸外国の静脈注射に関する文献を参考とし,今後のあり方を法的側面から考察したい.
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