実践報告
看護師が行なう静脈注射の施設基準作成の実際―国立大学病院における安全な静脈注射の実施に向けて
松波 登志子
1
,
伊藤 友美
1
,
松波 和子
1
,
秋野 森和
1
,
佐古 和枝
1
,
間宮 礼子
1
,
山本 眞由美
2
1岐阜大学医学部附属病院看護部
2岐阜大学保健管理センター
pp.483-488
発行日 2005年6月10日
Published Date 2005/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100183
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はじめに
国立大学病院をはじめとする特定機能病院において,看護師が静脈注射(iv)を実施することには,従来からさまざまな懸念が指摘されている。例えば,「夜間看護体制の貧弱さ,重症難度の患者が多く,反応が一律でないこと,薬剤品目が多いため薬剤に関する知識が不足しがちなこと,注射薬剤に関するインシデントレポートが4割と多いこと,研修医の存在など安全確認が不十分になりやすいこと,看護基礎教育における技術教育が不十分なこと」1)などである。したがって2002(平成14)年12月5日付で,全国国立大学病院看護部長会議常置委員会が「看護師等による静脈注射の実際について」に対する見解を「静脈注射については今回の通知を受けて拙速に変更は行なわないこととし,現状どおりとする」1)という慎重な判断を下したこともうなずける。
しかし,岐阜大学医学部附属病院(以下,当院)看護部は,「静脈注射は診療の補助業務の範疇である」とした,2002年9月の厚生労働省医政局通知2)を受け,これを看護師の知識・技術の専門性を活かすよい機会ととらえ,協議の結果,「看護師による静脈注射を安全に実施すること」を方針とした。2002年の通知では,医療機関に対して「看護師等を対象とした研修を実施するとともに」,「看護師等の能力を踏まえた適切な業務分担を行うこと」2)の周知が明記されている。そこで,当院では「看護師が行なう静脈注射」の施設基準を定め,看護師の育成を図り院内認定制度を導入した。さまざまな議論と試行錯誤の連続であったが,2004(平成16)年3月に施設基準を院内で決定した。本稿では基準の作成過程と内容を報告する。
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