遺伝カウンセリング・22/最終回
看護職の立場から
有森 直子
1
,
田中 悦子
2
,
藤村 聡
3
,
藤田 潤
3
,
福井 次矢
3
1聖路加看護大学
2京都大学医学部附属病院看護部
3京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
pp.765-767
発行日 2001年8月15日
Published Date 2001/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414903327
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遺伝や遺伝子の問題を扱う遺伝医療は,まさにさまざまな立場からのサポートを必要とする領域といえよう.チーム医療として遺伝子診療部をもつ信州大学や京都大学のシステムは,モデルケースとして紹介されているが,多くの施設の遺伝相談は,遺伝に関する専門医が孤軍奮闘しているのが現状ではないだろうか.専門職が連携し,効果的なチーム医療を行うためにシステムの構築を図っているのが現状であると思われる.
看護職はこれまでも,地域においては保健所が中心となって,遺伝的な問題をもつ患者の遺伝相談の窓口となって継続的に相談者を支えてきた1).また病院などの施設では,遺伝性疾患をもつ患者への日常生活のケアを行ってきた.科学技術の進歩は「発病するまえに,遺伝情報を知ること」「生まれる前に胎児の状態を知ること」を「可能」にした.このような選択を迫られた相談者はどのような体験をされているのか,看護職のかかわりはどうあるべきか,について共通の問題意識をもった看護職が集まり,1999年より「日本遺伝看護研究会」注1が始まった2).事例検討を中心とした学習会も10回目を迎え,会員は100名を超えている.本稿においては,6月号の心理職のかかわり(本誌554ページ)に続いて,遺伝医療・遺伝カウンセリングのチームメンバーとしての看護職の役割について検討したい.
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