看護教育研究
静脈注射実施における教育プログラムの開発―アメリカ、イギリスにおける静脈注射療法(Intravenous Therapy)の看護と看護教育
宗正 みゆき
1
,
長谷川 浩子
1
,
石本 傅江
1
,
兼安 久恵
1
,
迫田 綾子
1
1日本赤十字広島看護大学
pp.58-69
発行日 2003年1月25日
Published Date 2003/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663903348
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はじめに
医療の高度化と技術の発展に伴い,静脈注射療法(Intravenous Therapy,IV療法)は効果的な治療方法として需要が高まる一方で,治療処置の複雑化により医療過誤の危険性が増大している.
治療に関わる看護師は専門家として安全な静脈注射技術を提供するために必要な知識,技術を備え,静脈注射による与薬の危険性を認識し対処する責任がある.しかし,昭和26年の厚生省(当時)の通達により静脈注射が看護師の業務範囲を越えるものと解され,看護基礎教育,卒後教育において注射法による与薬技術に積極的に取り組めない状況があり,静脈注射の実施に不安を抱えている看護師も多い1-2.IV療法は看護師が関わる頻度の高い診療の補助技術でありながら看護師の業務範囲として認識されず,高度な知識,技術を必要とする看護の専門分野として発展しなかった.現在,看護基礎教育における静脈注射は,医師の指示のもとで行う技能として教育され,IV療法を受ける患者主体の看護技術として教授されているわけではない.最近の与薬による医療過誤はこうした教育が一因と考えられ,専門知識,技術を有する医療者による与薬の医療事故は社会問題になっている.
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