特集1 どうする?静脈注射 たしかめたい安全と安心
静脈注射に不安を覚えるあなたへ―薬剤師からの提言
中原 保裕
1
1ファーマシューティカルケア研究所
pp.346-348
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100948
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なぜ不安を抱くのか
静脈注射も看護業務の範疇であるとする,厚生労働省の行政解釈の変更が示されたあと,「自分たちの業務はどうなるのだろう」という不安を抱く看護職は多いようです.薬剤師として第三者的にこの問題をみたとき,まず,どちら向きで論議するのかを問いたいと思います.看護師はただでさえ忙しいのに,静脈注射まで看護業務だとされるのは迷惑だと捉えるのか,看護師の持っている能力を高め,社会的な価値を高めるチャンスなので,必要な整備をこの機会にすべきだと捉えるのか.筆者は後者の方向で論議するほうが生産的であり,具体的な対策も立てやすいと考えています.
筆者は,責任と権限と報酬はセットであると考えています.権限を広げれば責任も高まり,それにともなって得るお金も高くなればいいし,そうあるべきです.もし,静脈注射を看護業務とすることにネガティブな印象を抱く人がいるとしたら,それは,今後みずからが問われることになる「責任」という部分にひっかかっているのかもしれません.
看護職に限らず,ある職能の社会的価値を高めるということは,その職に就く人はいままで以上に責任を問われます.責任を果たすためには勉強もしなければいけません.しかしまた,責任は権限とお金とセットになっていなければ意味がありません.責任だけを問うて権限を与えないのでは,誰もやりたくないと思うのは当然です.また,責任に見合ったお金をつけなければ,職業としてやり続けることは,困難なことととらえている人が多いでしょう.
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