特集1 どうする?静脈注射 たしかめたい安全と安心
安全な静脈注射には何が必要か―看護職の静脈注射実施の現状から考える
迫田 綾子
1
,
石本 傳江
1
,
兼安 久惠
1
,
宗正 みゆき
1
,
長谷川 浩子
1
1日本赤十字広島看護大学
pp.331-345
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100947
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看護職の医療行為は保健師・助産師・看護師法(以下,保助看法とする)では,医師の指示を受けて行なう業務とされているが,1951(昭和26)年の厚生省通達によって,静脈注射は行政的には「看護職の業務の範囲を越えるもの」とされてきた.しかし,看護職による静脈注射の実施は医療上のニーズとして臨床で実施されている現状がある.また,近年在宅医療の増加に伴い,訪問看護職が医療行為を行なう機会が増加し,今後静脈注射の施行も含めて,社会的ニーズが高まっている.静脈注射は危険度の高い医療行為であり,人体の構造や機能ならびに薬剤に関する確実な知識を持って,安全に実施されることが要求されるものである.したがってその実施にあたっては,相当の教育と条件整備が必要と考えられ,慎重に検討する必要がある.
本稿は,看護職による静脈注射の実施に際して,安全に技術を提供するための諸条件と,看護基礎教育ならびに卒後教育に必要な教育内容や方法を明かにすることをねらいとして行なった研究のうち,医療施設における看護職の静脈注射の現状に関する部分の抜粋である.以下にご紹介する現状から導き出される課題について,読者もともに考えていただければ幸である.
なお,本研究の調査枠組みは,ヘルスプロモーションの具体的手法であるプリシード・プロシードモデル(図1)1,2)を用いた.
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