特集 「自分で決める」を支えるために
患者が「決定」するために看護師ができること
鱸 伸子
1
1オフィスSerendipity
pp.1014-1017
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100655
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「患者中心の医療」などと医療者の間から言われるようになるにつれ,患者は以前にも増して,あらゆる場面において,自己決定を迫られている.医療者任せではなく,患者自身が自分の身体と向き合い,納得のいく医療を受けるには,自己決定は不可欠ではある.しかし,患者にとっては,自己決定は決して容易なものではない.病に苦しんだ立場から,またコーチングを教える立場から,どのような場面でこそ看護師の援助が効果的かつ必要かを検討する.
患者にとっての最初の自己決定
患者にとってまず自己決定を迫られるのは,体調不良を感じてから,受診をするか否かの選択である.たとえば,胃の痛みを感じたら心配ですぐに受診する人もいるが,仕事が忙しいとか他のことを自分の体より優先させてしまったり,あるいは過剰な心配のあまり「もし癌や他の悪い病気と言われたら…」と,なかなか受診する決心をつけられない人もいる.本来は安心料を払うようなつもりで早い時点で受診すれば,あれこれ一人で悩まずに済むのであるが,なかなか,自分で決心する勇気をもてない人も少なくないのも事実である.早い時点での受診なら,もし何か見つかったとしても,早期発見,早期治療にもつながるのであるが,頭でわかってはいても,いざとなったら決断しきれないものである.
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