連載 スタッフの倫理的感受性を高める ナースマネジャーがともに考える臨床倫理――臨床看護師が直面する倫理的ジレンマを紐解く・5
意思決定能力のない患者
竹之内 沙弥香
1
,
田村 恵子
2
,
浅井 篤
3
1京都大学大学院医学研究科医学専攻社会健康医学系医療倫理学分野
2淀川キリスト教病院ホスピス看護課
3熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
pp.418-423
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101739
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意思決定能力のない患者とは
医療者は,侵襲を伴う医療を行なうにあたって,原則として患者の承諾を得なければならない。この承諾は,患者自身の自己決定である。患者に意思決定能力があれば,患者の自律を尊重するという倫理原則に則って,治療の方針を決定すればよいが,患者が幼い子どもである場合や精神疾患患者,意識不明の患者のように,本人が意思決定することが難しい場合には,決定を他者に依存しなければならない1)。そして,特にその決定が患者の生死にかかわる重大なものである場合,医療者と代理意思決定者が適切なプロセスを経て,慎重に決断を下す必要がある。以下の厚生労働省の終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインを参照されたい2)。
患者の意思確認ができない場合には,次のような手順により,医療・ケアチームの中で慎重な判断を行なう必要がある。
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