焦点 新しいケアの創造に向けたがん患者・家族の理解
乳がん患者の意思決定を支える看護のレビュー
国府 浩子
1
1福岡県立大学看護学部
キーワード:
看護研究
,
レビュー
,
乳がん
,
意思決定
,
日本
Keyword:
看護研究
,
レビュー
,
乳がん
,
意思決定
,
日本
pp.181-190
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100065
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はじめに
日本では乳がんの罹患数・死亡数ともに増加を続けており,この増加傾向は今後も続くと予想されている。日本における乳がんの発症年齢は欧米に比較して若く,40歳代後半が好発年齢であり,社会においても家庭においても多様な役割を担っている年代である。そのため,乳がんの増加が家庭や社会に及ぼす影響は大きいと考えられている。また,乳がんは比較的ゆっくり進行するという特徴をもち,検査方法・治療方法の発展により,早期に発見し治療を行なうことで長期生存が可能な予後のよい疾患である。しかし,その反面,進行が遅い特性ゆえ,10年以上経ても再発を起こす危険性もあり,長期間にわたり経過観察を必要とする特徴をもつ。したがって,乳がんの早期発見と乳がん患者・家族の長期にわたる支援が社会から要請されている。
乳がんはがんという病気がもつ不確かさが存在し,乳房の喪失や変形などボディイメージの変容を伴う治療を行なう。また,化学療法・放射線療法など種々の治療に効果をあらわす疾患であり,年々画期的に変化している治療の高度化・複雑化がすすむ一方で,乳がん患者は,複雑かつ困難な選択を迫られるようになった。がん告知から治療の選択が短期間で行なわれることもあり,乳がん患者への情緒的な支援が必要とされ,看護がそこで果たす役割は非常に大きいといわれている。そこで,本稿では,日本における乳がん看護に関する研究動向を概観し,近年,看護師としての役割の重要性が指摘されている乳がん患者の治療への意思決定に関する研究の動向と課題について検討してみたい。
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