招待席
不確実な日常を生き抜くために―“がん”のその後
本誌編集室
pp.989-993
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100656
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がん患者が体験している不確かさがまとわりつく現実
――2001年にがんを患らわれてからまもなく5年を迎えられます.いわゆる「5年生存」を達成されたわけですが,この5年を振り返って,がんについて何を思われますか?
岸本 一般的に,がん=致死性というところに最大の特徴があるように思われがちですが,私は「再発するのか,しないのか」「確実に再発を予防する手立てはないのか」などの不確実性こそ,どの病期のがんの人にも共通する最大の特徴だと思うんです.生きているということ自体,常に不確実性がつきまとうということですが,健康なときにはそのことを忘れていて,病気になってありのままに認識するようになるのかもしれません.
私もこの5年間は,来年,再来年のことを考える習慣がなかったというか,意識的にそうしていました.独身ならではの恋愛や結婚の悩みがあってもいいはずだったのに,まったく頭になかったのを思い出します.
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