特集 腹臥位療法のいま 実践・研究・根拠
うつ伏せ(腹臥位)療法の効果―研究の経緯と今後の課題
小田原 弘子
1
1医療法人親仁会米の山病院
pp.541-545
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100461
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はじめに
うつ伏せ(腹臥位)療法は,1987年より福岡県大牟田市にある当院老年科にて,在宅医療を実践するなかで考案された治療法である.この治療法は,寝たきり(長期仰臥位状態)および寝たきりになる可能性の高い高齢者の,廃用症候群(とくに四肢拘縮など)の改善を目的として実践された.1989年,故・中山壽比古医師は日本老年医学会にて,この実践結果を踏まえ,膝・股関節の拘縮に対し有効であることを報告した1).中山医師はこの報告に着目した故・並河正晃医師とともに厚生省長寿科学研究に取り組み,この共同研究を行なうなかでさまざまな研究成果を得ていった2-4).この両医師の研究を基に,うつ伏せ(腹臥位)療法は「高齢者の寝たきり廃用症候群を予防・軽減・改善する治療法」として確立され,現在に至っている.
本稿では,うつ伏せ(腹臥位)療法の現状について,とくに効果を中心に報告する.
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