特集 —生ある限りいきいきと—腹臥位療法のすすめ
【座談会】看護実践としての腹臥位療法—その効果と課題
川島 みどり
1
,
真島 千歳
2
,
石村 敏子
3
,
熊谷 佳代
4
,
有働 尚子
5
1健和会臨床看護学研究所
2訪問看護ステーション桜新町
3浪岡町立病院
4市立加西病院看護部
5VITA臨床生命学研究所
pp.996-1003
発行日 1999年11月1日
Published Date 1999/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905960
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はじまりは偶然の出逢いから
川島 私が有働先生の提唱される腹臥位療法を知ったのは,医学書院の『訪問看護と介護』の編集者の方から,厚生省の長寿科学総合研究に素晴らしい研究が載っているといって,「低ADL(高齢)患者における腹臥位療法の効果について」という論文を紹介されたことがきっかけです.有働先生の論文では,患者さんを腹臥位にするだけで廃用症候群が予防されて,意識が鮮明になっていくと.しかも脳生理学の観点からその根拠が書かれていました.それを拝見して,失礼かもしれませんが,医学研究ではなくて看護学研究にとても近いと感じました.
と申しますのも,私も寝たきりの患者さんを起こす具体的な方策として,まずベッドの上で座ることから始めましょうと提唱し,端座位を補助する「座ろうくん」を開発してきた経緯があります.これは背面開放座位をすすめるという点で腹臥位療法と共通するものです.また音楽運動療法にも取り組んできましたが,私どものそれはトランポリン上での垂直上下運動で,有働先生がパーキンソンの患者さんを対象に行なわれている,軽快な音楽を使ったダンスの考えと非常によく似ているんですね.それでぜひお会いしたいと思い『看護学雑誌』1998年11月号と12月号では「寝たきりを防ぎ・治す全人間的アプローチ」というテーマで,先生との対談を掲載させていただきました.
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