特集 市町村保健計画の実際
市町村保健計画の経緯と課題
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.622-623
発行日 1978年10月15日
Published Date 1978/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205687
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■情勢の変化と保健計画の発展
住民に最も身近な自治体である市町村の保健計画の重要性,その条件,プロセスと技法を含む進め方について論議され,また努力がなされるようになってすでに久しい.すなわち,前史的段階は別として,この課題が明確な問題意識に立って公的に提起され,社会経済環境の激動の中で,国,地方公共団体により,いわゆる共同保健計画として進められるようになったのは,昭和35年来のことであり,すでに20年に近い歳月が流れた.
この20年は,世界的にはもとより,わが国にとって誠にきびしい激動の時期であったことは,改めて述べる必要はないであろう.前記市町村の共同保健計画とこれに対する保健所の役割,また計画を進めるための理論的基礎と枠組み,組織とプロセス,実用的な技法等については,当時テキストとして刊行された『保健所管理』(厚生省保健所課監修,日本公衆衛生協会刊,1961)に集約されており,その内容は今日においてもほとんど修正を要しないものである.これによって提示された課題へのアプローチの方式——地区把握・地区診断・共同保健計画——は,その後関連学会等において多くの発表と論議を呼んだが,巨視的にみてその進展はあまり芳しいものとはいえなかった.
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