特集 腹臥位療法のいま 実践・研究・根拠
在宅で腹臥位療法に取り組んで
眞島 千歳
1
1そらとびねこ訪問看護ステーション
pp.535-540
発行日 2004年6月1日
Published Date 2004/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100460
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
在宅で腹臥位療法を始めたきっかけ
いまから6年前の1998年当時,私はある病院に併設された訪問看護ステーションに勤務していた.その病院から退院してくる方の訪問看護依頼が多かったが,初回訪問では必ずといっていいほど摘便をしなくてはならなかった.なぜなら病棟の看護師不足を補うため,いわゆる“付き添いさん”と呼ばれる人々(表向きは廃止されている)から,毎朝看護師が排便の有無を聞き,ないと聞けば医師に下剤を処方してもらうという,およそ看護とはいえないやりかたで排便コントロール(?)がなされていたからである.
初回訪問では本人の状態観察,介護者の話を聞く,今後のケアの内容を確認するなど,直接ケア以外にやらなければならないことがたくさんある.しかし,排便の様子を聞くうちに長い間便が出ていないとか,水様便が少しずつ絶え間なく出ているとか,食欲がない,呼吸状態もあまりよくないということがわかってくると,何はさておきお腹に溜まった便を出してからでないと先へ進めないと思うのである.そこで摘便となるが,とにかく出てくる出てくる,よくもこんなに貯めこんだというほど大量の便が出てくることが多かった.その後石鹸で陰部洗浄し,ついでに清拭して寝巻を変え,シーツ・オムツも取り替えてとなると,それだけで初回訪問は終わってしまう.そういうパターンがあまりにも多くてウンザリしていた.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.