調査・研究
救援活動に従事する医療者へのメンタルケアの課題―赤十字国際救援要員に対するデブリーフィングの現状をとおして
藤田 容子
1
1日本赤十字社医療センター
pp.1218-1223
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100288
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はじめに
近年の世界情勢は非常に不安定で,甚大な被害をもたらす自然災害が多発するなど,国際救援活動のニーズは増す一方である.救援活動に従事する要員には,多数の医療者が含まれるが,ふだんは医療施設で働く看護師も例外ではない.筆者が所属する日本赤十字社においても,被災者救援,紛争犠牲者救援,難民・避難民救援などの目的で,多くの看護師が任地に派遣されている.救援要員は,過酷な現場で任務を遂行する過程でさまざまな体験をし,大きなストレスに晒される可能性が高い存在である.
しかし,彼らのメンタルヘルスについては,これまであまり注目されず,救援要員のストレス処理は各自の努力に委ねられてきたきらいがある.その結果,十分にメンタルケアがされないまま,職場に復帰している医療者が多いのではないか.そのような疑問から,救援要員に対するメンタルサポートのあり方を検討したいと考え,赤十字国際救援要員の衝撃的な体験の実際と,心理的支援としてのデブリーフィングの実態について調査した.
なお,「デブリーフィング」とは,活動中に体験した出来事について,その体験に対する各自の反応や感情を回顧・言語化し,グループで共有することによって積極的にストレス処理を行なう危機介入法である.
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