特集 不安な患者さんはあなたのすぐそばに じつは身近な遺伝相談
―遺伝相談と看護の関係②先天異常領域―新生児の生きる権利を守り,父母の心に寄り添うケア
平塚 志保
1
1北海道大学医学部保健学科
pp.112-118
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100019
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はじめに
先天的な障害や疾病をもって生まれてくる新生児は決して少なくない.先天異常の原因は後述するように多彩であり,また先天性であるからといってすべての異常が父母から遺伝しているわけではない.
先天的に異常と診断されるものには,出生後すぐに集中治療を要するいわゆる重度障害新生児から,たとえば手や足の指が1本多い・少ないなどの命には関わらない小さな形態異常がある新生児まで,幅がある.
喜びが満ち溢れているはずの新しい命の誕生の現場で,父母は子どもに何らかの異常があるという重い現実を前にして混乱する.そして周産期に関わる医療者にとっても,先天異常をもつ子どもの出生は,「遺伝子」が今日のように注目される以前から,深刻な問題として受け止められてきた.
本稿では,わが子に先天異常があると知らされた,あるいはそのような先天異常に遺伝子が関わっている可能性を知らされた父母や家族を,どのようにケアしていくかについて概説する.
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