特集 住民に学ぶ
住民レポート
子供の健康と働く婦人の権利を守る病児保育
野村 穣
1
1枚方病児保育共済会
pp.20-24
発行日 1970年10月10日
Published Date 1970/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204768
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■子供を独りのこして
『子供の病気は勤めをもつ母親にとって何よりも怖いことです。ちょうど今朝のことです,いつも元気でおきてくる娘が珍らしくぐずぐずしています。食事もとらず,お腹が痛いと訴えます。けれど今日はどうしても休むわけにはゆかかいのです。期末考査まであと授業時間は2時間,定められたカリキュラムはどうしても消化しなければならず,主人も春の大病で有給休暇は使い果し,しつけの激しい職場で身動きならない状態です。熱もあまりないし,心を決めて独りで寝かせて出かけてしまいました。ききわけよく独り家に残った子供はどうしているかと授業の合い間に家にかけは電話機に心細げに,それでもはっきりと返事をする子供の声を聞いたときは,思わず涙がこぼれました。この日は前から楽しみにしていた七夕祭りの日でした。器楽合奏のおけいこにも励んで楽しみにしておりましたのに,度々の下痢に1つしかないキリン組のトイレのことを思い合わせ,子供心にも諦めたのでしょう。自分から今日は独りでお留守番をするといい出した気持を思うと可哀そうでなりません。幸いに土曜日でしたので,とび立つように帰宅し,思いの外元気な子供を見出しほっといたしましたが,もし留守中急に悪くなるようなことがあったらとぞっとする思いです。
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