寄稿 3回シリーズ 統合失調症の姉
最終回 私と父母、そして姉
高崎 麻菜
1
1東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム
pp.76-83
発行日 2012年3月15日
Published Date 2012/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101001
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一人暮らしを始めて3か月も経つと、これまでのことをゆっくりと考えるようになっていました。特に、「だっておりえ、一人で梅田行かれへんねんもん」というあのときのセリフの意味を考えると、心が重くなって、頭が痛くなりました。このセリフに、私がしてきたことの全部が詰まってるような気がしたからです。家から出ることのできない姉は、「迷惑をかけている」と、父母に申しわけなく思っていたのかもしれない。それなら、メイクをして出かける私を見て、相当苦しかっただろう。それをわかっていたのに、わざと姉を挑発するような行為をしてしまった……。私が絶対に言うべきではなかったセリフが、次から次へと頭に浮かんで、イライラを抑えることができませんでした。
もう1つ、過食が止まらなくなった原因として、母の躁うつ病の悪化があったと思います。悪化と書いたのは、母は、私や姉が小さいときから、何かしら精神的な問題をかかえていたのではないかと思っているからです。
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