特集 不安な患者さんはあなたのすぐそばに じつは身近な遺伝相談
―遺伝相談と看護の関係①出生前領域―新しい命の選択を迫られる意思決定を支えるために
小笹 由香
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1東京医科歯科大学遺伝診療外来・東京医科歯科大学保健衛生学研究科
pp.106-111
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100018
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はじめに
「遺伝子を調べれば,病気になるかどうかわかるんですか?」「遺伝子治療をすれば治るんですか?」など,最近患者さんから質問されたことはありませんか?
そしてあなたは,「遺伝子とか,染色体とか……なんだか難しい」と思っていませんか?
今や,研究・臨床とも,医療のすべての分野における最新のトピックスは「遺伝子・染色体・遺伝」 に関することであると言っても過言ではありません.ある日突然,皆さんは,疾患の原因が遺伝性であったり,遺伝子治療の対象であったりする患者さんと出会い,「遺伝」と向き合うことになるのです.ですから,そのような患者さんや家族をケアしていく看護職として,改めて「遺伝」について考えておきませんか? きっと,これまで苦手に思い,敬遠していた「遺伝」ではなく,看護職として普段から行なっているケアとの共通点が見つかるはずです.
本稿では,「妊娠前に遺伝性疾患の保因者であることがわかったとき,そして妊娠後に胎児に異常が見つかったとき,ナースとしてどのように両親の意思決定を支えればよいのか」ということについて,1つの事例を通して考えてみます.
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