Medical Scope
シモナルト帯
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.933
発行日 1986年10月25日
Published Date 1986/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206990
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シモナルト帯(Simonart band)というのを知っていますか? 昔,どこかで聞いたことのあるような気がすることと思います。これは別名,「羊膜索(amniotic band)」ともいいます。妊娠の初期に,何らかの原因で胎児のからだの一部分と羊膜が癒着してしまい,羊膜は細長い索状に萎縮したヒモのようになり,胎児の四肢に巻きついて,その一部を切断したり,腹壁と癒着して内臓脱出症(臍帯ヘルニアなど)をつくったり,脳の脱出症すなわち脳ヘルニアを発症させる奇形因子のことです。
どうしてこんな羊膜索ができるのでしょうか?羊膜の炎症によって胎児と癒着することも考えられますが,まれには,妊娠初期に羊膜腔が破れ,その裂孔から胎児(胎芽)が飛び出し,この胎児が羊膜腔外,つまり,絨毛膜に包まれて発育することもあるので,このときに羊膜が萎縮して索状となり,一部は胎児に癒着し,四肢の切断を起こして絞扼輪症候群をきたしたり,頭蓋骨の発育を障害して脳ヘルニアを発症させたりします。
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