Medical Scope
早産のメカニズムとその抑制剤について
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.356
発行日 1980年5月25日
Published Date 1980/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205709
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今年も3月31日から4月4日まで,アメリカの砂漠とギャンブルの都市,ラス・ベガスで,第5回周産期医学国際シンポジウムが開催されました。そして,世界各国から500名もの熱心な参加者が,大きな会場をうずめつくしました。日本からも,私と親しい仲間たちが参加しましたが,東北大学の鈴木雅洲教授も昨年につづいて出席されました。そして,たった1年間しかたっていないのに,こんなに進歩したのだろうか……と思うぐらい,多くの業績やら研究が発表されました。そこで,その一部をこのMedical Scopeにも登場させようと試みましたので,しばらく周産期医学の最新情報に耳を傾けて下さい。これからは,英語を少し勉強して,助産婦諸君もぜひ出席されることを希望します。
さて,本題に入りますが,早産はどうして起こるのだろう?こんなことを考えてみたことがあるでしょうか。早産のメカニズムです。今日まで多くの研究がこの分野で行われており,いろいろの観点から早産のメカニズムは考えられているのですが,ひとつ,フォスフォリパーゼphospholipaseという酵素の存在が大きくクローズアップされてきました。このフォスフォリパーゼという酵素は,母体の脂肪酸を分解して,プロスタグランディンのF2α(アルファー)やE2を作る作用をもっているのです。
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