Medical Scope
骨盤位早産児の予後
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.173
発行日 1984年2月25日
Published Date 1984/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206407
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最近では,骨盤位の低出生体重児は帝切で生ませた方が予後が良い……という考え方が広まり,みなさんのあいだでも,ときどき,この話題について討論があるときいています。欧米を中心に,骨盤位の低出生体重児を帝切にしよう……という考え方が出はじめたのは1975年項からのことです。当時は一部の学者の提唱にすぎなかったのですが,だんだんこの考え方が認められ,今日では周産期医学のなかで定説のようになってきました。帝切で生ませたほうが予後の良いことが,いろいろな角度から証明されてきたからです。この数年間,NICUをはじめとして,周産期医療は急速に進歩し,1,500g以下の低出生体重児もずいぶんよく育てられるようになりました。小さい新生児・未熟児を育てていくうちに,これらの症例のなかに,出生直後に頭蓋内出血がある症例が多いことがだんだん分かってきました。何とかして,この1,500g以下のベビーに頭蓋内出血をおこさないで生ませることができないのか……ということが検討されてくると,帝切で生ませたほうがこの理論にそうことが研究で認められてきたのです。
大変に有名な研究の1つに,スウェーデンのルンド大学病院で産科・小児科・新生児科が共同して行なった成績があります。それによると,この病院でも1974年までは早産例の骨盤位は経腔的に生ませていましたが,1975年からは全例に帝切を行なっています。
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