Medical Scope
新生児のレスピレーターを止めるとき
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.708
発行日 1980年10月25日
Published Date 1980/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205776
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多くの重症な新生児を治療しているNICUに勤務する方々は,この新生児にこれ以上の治療を行うということに,ときどき疑問を抱くことがあると思います。新生児の生命は尊いけれども,全く回復の見込みがないような症例につけているレスピレーターは,いつまで作動させておくべきなのか,そこには,医学的な問題だけではなく,社会的,人道的な見地からの討論も加えられなくてはならないでしょう。この度,開催されたアメリカでの第5回周産期医学国際シンポジウムでは,カリフォルニア大学の新生児学を担当されているポメランス(J.J.Pomerance)助教授が,アメリカの第一線のNICUで働くドクター達に,アンケート用紙を送り,その結果が発表されました。つまり,こんなとき,あなたならレスピレーターを止めますか,そのままつづけますか?……という大変にユニークなアンケートだったのです。その結果,70%以上のドクターが,もうレスピレーターは止めるべきだ,つづけるべきではない……と回答したのは,次にあげる7つの場合でした。
①新生児が水脳症hydroanencephalyのとき(これは水頭症ではありません,脳室が拡大して水がたまっていて,脳の実質が1cmぐらいの厚さしかない,脳の働きは全くない症例です)
②麻痺症状を示している髄膜瘤(たとえば尿や便を全く失禁しているような症例)
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