連載 ペリネータルケア・2
周産期医療における看護の役割
竹内 徹
1
,
横尾 京子
2
1大阪府立母子保健総合医療センター
2大阪府立母子保健総合医療センター周産期2部
pp.89-92
発行日 1983年2月25日
Published Date 1983/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206177
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周産期看護の一環としての新生児看護
前回は過去10数年間における周産期医療の変遷を概説し,それに伴う看護の役割の拡大化について紹介した.ごく最近の数年間における周産期医療の進歩は,胎児に対する考え方や,その取り扱いに関する医療のあり方を完全に変えてしまったともいえよう.その結果,
1)分娩周辺期における産科的介入(intervention)適応の拡大化
2)分娩中および分娩直後からの新生児ケアの徹底化
3)特に極小未熟児に対する分娩室・NICUでの呼吸循環管理を主軸とするケアの複雑高度化
4)親子関係を重視し,母子の絆の成立を阻害しないよう配慮されたfamily-centered careの提供
5)新生児医療の地域化──周産期医療の社会性
などが可能となった.このような周産期医療の専門化が進むなかで,すでに諸外国では周塵期医とも呼ばれるような専門の医療従事者が産科側や新生児側から生まれつつあることも事実である.わが国においても次第にその傾向が強くなってきたことは喜ばしいことである.
一方,看護学の立場からみた場合,わが国では依然として新生児看護は母性看護と小児科看護の狭間にあり,全般的にみて,周産期看護の一環としての認識が少ないように思われる.さいわいにも現在は,次第に母性(病)棟をもった病院施設内で,NICUが1病棟単位として機能し始めるようになってきた.
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