Medical Scope
胎児の心拍数変動性と遅発性徐脈
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.867
発行日 1979年12月25日
Published Date 1979/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205649
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先月は新生児の心拍数モニタリングから,その変動性についての新しい考え方をお話しました。その結論は,妊娠30週の新生児でも元気なら心拍数パターンの変動性は存在し,妊娠36週のRDS重症例では存在しないことから,機能的に脳の中枢からの交感・副交感神経系の支配がなくなった時には変動性は消失するのだということでした。新生児のひとつの予後判定にも用いられるし,現在,新生児のRDSのような呼吸障害が重症なのかどうかも判定できるということになりました。
さて,今日は,胎児の心拍数パターンの変動性variabilityについてもう一回考えてみましょう。やはり,同じようなことが胎児でもいえるようです。分娩中,あるいは分娩前の胎児心拍数モニタリングでは遅発性徐脈late deceleration というのが,これぞ胎児仮死fetal distressであるというので,大変有名な所見であることはすでに皆さんもよく知っておいでのことと思います。しかし,この遅発性徐脈でも,2種類に分けて考えるような考え方が今日ではでてきました。分娩中の胎児監視では,その研究が広く認められている南カリフォルニア大学産婦人科のFrank Miller助教授がその分析を教えてくれました。彼は一昨年,日本での周産期医学の国際シンポジウムに来日して講演されたので,覚えておいでの方もあると思います。
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