MEDICAL SCOPE
基準胎児心拍数
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.1001
発行日 1994年12月25日
Published Date 1994/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901159
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胎児心拍数モニタリングで,まず最初に私たちがみる項目は,その胎児の基準胎児心拍数(baseline heart rate)であるという原則は,皆さんよく知っているとおりです。胎児の基準心拍数とは,胎動も子宮収縮もない時の胎児心拍数で,同じ妊娠週数の症例でも1人1人の胎児でかなり違うものだということも,体験上感じていることでしょう。妊娠週数によって,この基準胎児心拍数はどの程度の差があるのかという問いに対して,今まで多くの研究がなされているのですが,明解な結論というものは出ていません。それは胎児の個人差もさることながら,胎児の心拍数はある程度ですが母体の心拍数とも関連して変化しているからなのです。したがって,妊娠○○週の基準胎児心拍数はいくつだといった,定義のようなものがないのが現状です。
そうは言っても,大体のところどんなふうに私たちは考えたらいいのでしょう。妊娠初期のうち妊娠6〜7週といったようやく超音波断層法で胎児の心拍数がみえる頃では,胎児の基準心拍数は100bpmぐらいです。bpmとはbeats per minuteの略で,1分間の心拍数を示す単位です。ところが,妊娠9〜10週になると,基準胎児心拍数は180bpmとなり,妊娠期間中で最も頻脈の時期となるのです。そして,妊娠14週には140bpm平均に落ち着くようです。
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