増刊号 周産期診療のための病態生理
[産科編]
胎児心拍数
胎児心拍数基線と基線細変動異常のメカニズムは?
福田 冬馬
1
,
安田 俊
1
,
藤森 敬也
1
FUKUDA Toma
1
,
YASUDA Shun
1
,
FUJIMORI Keiya
1
1福島県立医科大学医学部産科婦人科学講座
キーワード:
基線
,
基線細変動
Keyword:
基線
,
基線細変動
pp.172-175
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001267
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胎児心拍数基線の定義
2003年に日本産科婦人科学会周産期委員会報告によって,胎児心拍数基線が定義された1)。正常の胎児心拍数(normocardia)は110~160bpmであり,この正常値は妊娠週数で変化しない。110bpm未満を徐脈(bardycardia),160bpmを超える場合を頻脈(tachycardia)としている。胎児心拍数基線は「10分間の観察区画におけるおよその胎児心拍数の平均を5の倍数として表す」ことになっている。そのなかで,基線と判断する場所は少なくとも2分以上持続しなければならず,一過性変動や26bpmを超える基線細変動増加の部分では判断しない,とされている。また,10分間の観察区画に複数の基線ととれる部分があり,それらに26bpm以上の差がある場合には,その区画で基線の判断はしないこととなっている。これらの条件を満たす心拍数基線が,直近の10分間の区画では判定困難な場合があり,その際は,直前の10分間の胎児心拍数モニタリングから判断することになる。
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