先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
胎児心拍数曲線の考え方—発現機構とその調節
胎児心拍細変動
池ノ上 克
1
,
茨 聰
1
Tsuyomu Ikenoue
1
,
So Ibara
1
1鹿児島市立病院産婦人科
pp.593-599
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207435
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1822年Laennec一派のDeker—garedecが聴診によって胎児の生死を判定できかつ分娩中のfetal distressも知ることができると述べて以来1,2),胎児心音に関する研究がさかんになった。1893年すでにVon Winckle3)はfetal distressの診断基準を確立しており,心拍数160/分以上,120/分以下をfetal distressの徴候であるとした。その後約80年間にわたって,この聴診法が広く使用されてきた。Bensonら4)の共同研究によれば,2,400例の妊婦で分娩第1期は15分おきに,分娩第2期および異常所見発生にあたっては,5分おきに児心音を聴取して分娩を管理し,児の予後を検討した結果,fetal distressの indicatorとしてこの方法は不十分であったと結論している。1957年,Honら5,6)によって分娩中のcontinuous electronicfetal heart rate monitoringが紹介されて以来,従来の間歇的児心音聴取による分娩管理から新しい分娩管理への脱皮が行われ,その普及とともに胎児心拍パターンのもつ臨床的・生理学的意義の検討が急速に進んできた。
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