Medical Scope
妊娠・分娩と卵巣癌
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.208
発行日 1979年3月25日
Published Date 1979/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205522
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助産婦諸君でも卵巣癌のことは少しは知っていることと思います。なかなか診断がつきにくく,しかも,卵巣癌だと診断がつくと,10年以内にその90%もの人が死亡してしまうという結果になり,私たち産婦人科医でも,オバカルといって非常に困っている悪性腫瘍です。今日は,この卵巣癌と妊娠の関係が最近いろいろと話題にのぼってくるので,このことをお話ししようと考えました。
多くの卵巣癌と診断された症例を年齢別に統計をとってみると,第一に気がつくことは,妊娠・分娩を経験した回数が同年代の女性の平均値にくらべて少ないことでした。つまり,卵巣癌になっている人には妊娠したことのない人や,しても,その回数が少ない人が多いということです。この事実は逆に考えると,妊娠・分娩を多く経験した経産婦では卵巣癌になりにくく,その回数の少ない人ほど卵巣癌になりやすいのではないかともいえるのです。
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