今月の臨床 —どこまで可能か—悪性腫瘍治療と妊孕能温存
卵巣癌
5.妊娠中に診断された卵巣癌の取り扱い
寺井 義人
1
,
植田 政嗣
1
1大阪医科大学産婦人科
pp.1004-1008
発行日 2002年8月10日
Published Date 2002/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904708
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はじめに
卵巣癌は最も予後が悪い女性生殖器癌の一つであり,近年,増加傾向にある.一般に卵巣癌の好発年齢は50歳代とされているが,40歳未満の若年者の卵巣癌を経験する機会も多くなってきた.結果,妊娠中に卵巣腫瘍を発見する機会も増えてきた.しかし,その良・悪性の鑑別診断は,妊娠中であることによりCT検査,MRI検査が行いにくいことや腫瘍マーカー値が妊娠により修飾されていることなどから,非妊娠時以上に困難な場合がある.また,手術適応や手術時期についても胎児への影響を考慮する必要があり,特に悪性腫瘍の場合にはその対応に苦慮することが多い.そこで,当科において過去23年間に妊娠合併卵巣腫瘍の診断で手術を施行し,組織型を確認し得た類腫瘍病変を含む137例の臨床像を解析し,悪性腫瘍症例への対応や文献的考察を含め検討した.
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