連載 図解 助産師のためのフィジカルイグザミネーション・File.10
電子スキャンによるフィジカルイグザミネーション(後編)
佐世 正勝
1
1山口県立総合医療センター産婦人科
pp.82-86
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100036
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分娩・産褥期
●分娩の進行が遅い,胎児の下降が悪い場合
分娩室こそ助産師の仕事場であり,積極的に超音波診断装置を活用すべきである。分娩の進行が遅いときは内診により児の進行状況や回旋の状態を評価するが,内診指で触れているのが本当に大泉門であるのか自信が持てないときがある。このようなときに恥骨上縁に水平にプローブをあてれば,回旋は容易に判明する。画面上方に低エコーの眼球が2つ描出されれば,後方後頭位である(図1)。また,脊椎の位置も参考になる。脊椎が後方に向く第2胎向になっていることがある(図2)。回旋の異常は,座位あるいは四つんばいで改善することをときに経験する。
●臍帯巻絡
なかなか下がってこず変動一過性徐脈が頻発し,生まれてみたら臍帯巻絡があったということは,しばしば経験する。まずは羊水量の評価と臍帯巻絡を見るとよい(図3)。頸部巻絡はカラードップラで容易に診断がつくが,Bモード法でも診断可能である。臍帯巻絡のみで帝王切開が必要になることは少ないが,変動性一過性徐脈に対しては羊水注入や体位変換が有効であることがある。
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