今月の臨床 妊娠初期を診る
胎児発育の評価
2.心拍動
秦 利之
1
,
青木 昭和
1
1島根医科大学産科婦人科
pp.1046-1049
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903053
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近年,近距離の標的臓器を観察するのに適した高周波数の経腟プローブが普及し,妊娠初期における高解像度の画像が得られるようになってきた.また,hCGの検出感度が上昇してきたため受精後約10日以降から尿中hCGが検出されるようになり,従来に比べ,より早期から妊娠子宮内の観察が行われるようになってきた.超音波断層法にて最初に描出できる妊娠像は胎嚢であるが,胎芽の生存そのものを証明するのは今のところ胎芽心拍(EHB)の確認のみである.よって超音波法で確認可能な週数より早い時期での胎芽生存の証明は今のところ不可能である.一方,EHBが確認されても流産になる場合が時々経験される.この過程において子宮内胎芽死亡を起こす前に心拍に異常の出現する時期がある可能性がある.そこで本稿では,胎芽および胎児発育過程における正常心拍動並びにその異常を取り上げ,最近の知見と筆者らの症例を提示して解説する.
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