講座
本邦婦人における骨盤型の分類
佐野 源治
1
,
田中 文昭
1慶大産婦人科教室
pp.52-59
発行日 1957年12月1日
Published Date 1957/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201391
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分娩経過と骨盤との関係について研究が始められたのは非常に古く,現在では殆んど研究し尽された様な状態にある.即ち1775年ボードロツクの外結合線,1865年ミハエリス,リッツマンの外計測法に関する精しい解説と狭骨盤の分類研究等を初めとし,X線の臨牀への応用可能となつて以来真結合線もほぼ推計可能となり,児頭と骨盤の時々刻々に於ける相対関係も判明し,骨盤による分娩異常は殆んど事前に予知可能の状態になつた.さて骨盤の形についてはこれまで産科で問題になつたのは主として病的骨盤で正常なものは論ぜられる事はなかつた.唯解剖学者や人類学者により研究され正常骨盤にも種々形の変化がある事を注目されていただけであつた.彼等の分類では
1830年 ウエーバー
1.円型 2.楕円型 3.角ばつた型 4.楔状をした型
1844年 ボンスユタイン
1.円型 2.丸みのあるハート型 3.細長い楕円型 4.横に長い楕円型
1885年 チユルネル
骨盤指数 95以上…細長型 95〜90…円型 90以下…扁平型
(骨盤指数=前後径/横径×100)
以上三分類法は有名であり,人類学研究に盛に利用された.然し産科的に病的なものを研究するには正常なものの研究を基礎とすべきは当然で,米国のトムスはこれまでの病的骨盤の分類のみではあきたらず,骨盤標本及び多数の正常婦人骨盤のX線写真を分類し,その各々について詳細に,臨牀所見分娩経過を報告した.
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