特集 出血傾向のLaboratory Diagnosis
Ⅱ.出血傾向を訴えてきたとき
3.婦人
鈴木 重統
1
1北海道大学・産婦人科
pp.1260-1268
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915617
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止血機構そのものは,婦人であれまた成人男子であれ本質的に異なるものではないことは当然のことである.それにもかかわらず,婦人が男性に比して出血に悩まされることが多いのは,性器出血が実に生涯のうちの約半数近くの年数にわたって続くためであり,ある場合には,この出血のために健康をそこねたり,またごくまれに一命を落とすようなこともあるからである.加うるに成熟婦人には宿命ともいうべき妊朶現象が厳然として横たわり,妊娠の基盤にSchwarzman現象があると言われている以上,妊娠〜分娩〜産褥期においては,常にDICの発生に留意せねばならない.パンダに例をとるまでもなく,妊娠で腎疾患を合併したものは,特別な配慮が必要である.
また性周期,すなわちプロゲステロン優位の黄体期,エストロゲン優位の卵胞期によって微妙な違いが出てくることも考慮する必要があろう.というのは,経口避妊薬による血栓形成傾向が欧米では久しく問題になっており,しかもエストロゲンのdose-responseなどによるという報告もあるからである.
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