講座
農村の婦人
古沢 嘉夫
1
1都立墨東病院産婦人科
pp.67-69
発行日 1962年1月10日
Published Date 1962/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202503
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農村の近代化はめざましいものがある.すまい,くらしに驚くばかりの明かるさをもつたかのようだ.しかしそこにもじつと見ると一点の黒い影がある.農村における人工妊娠中絶の実状である.その問題点と対策についてくわしくふれていただいた.
最近,農村の生活は豊かになつてきたとよくいわれる.私たちのように農繁期などに,ときどき農村を訪れる者の目をおどろかすものは,昔風の傾きかけた古いわらぶきの家がいつのまにか,都市の高級住宅地のまん中にあつても不思議とは思われないような,近代住宅に建ち変つていることである.いつたい誰が住んでいるのか,以前のわらぶきの農家に住つていた人と同じなのかなと頭をかたむけるのである.たしかに農村の生活は改善され変つてきている.台所はひろびうと明るく,清潔で働きよくなつている.栓をひねれば,水が勢よくほとばしり出るし,明るい螢光燈もついている.タイル張りの風呂場もあるし,電気洗濯機もある.テレビもあるし,オートバイもある.たしかに農村の生活は近代化したように見える.
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