講座
簡易陣痛記録法
長内 国臣
1,2
1警友病院産婦人科部
2慶大
pp.61-68
発行日 1957年12月1日
Published Date 1957/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201393
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陣痛を正しく眺める
陣痛を正しく眺めることは,大切なことである。ところが,急に産家に呼ばれたときの雰囲気というものは,妙に緊張した,あわただしさがみられる.家人が訳もなくうろたえ慌てているからであろう.こちらもつい,つりこまれてしまう.そして産婦の部屋に入るや否や,問診どころの話ではない.いきなり産婦の布団をまくつて,お腹をなぜまわす始末と相成る.これでは,よい診察が出来るわけはない.やはり,落着いて陣痛を正しく眺めることである.出来れば,お茶の一杯でも飲みながら,痛みの様子を見るがよい.痛みと痛みの間に間歇があればしめたもので,正常産である.正常産だと直感出来れば,診察者は自然と落着いてくるものである.そこで手際よい問診で,お産の経過を聞きながら診察に移れば,今後の進み方なり,介助方針が明瞭に頭に画かれてゆくであろう.勿論,痛みにきれ目がなければ異常分娩として慌てる必要はある.
このように,われわれは陣痛の様子で,落着きもし,また慌てもしなければならない.産科を扱う者の宿命である.
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