講座
妊婦の食餌(1)—農村妊婦の食餌
塚本 胖
1
1松下病院産婦人科
pp.22-27
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200880
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妊婦栄養の特殊性
吾々が日常健康を維持するために充分な栄養摂取の必要であることは勿論でありますが,特に妊娠時には妊娠経過に伴う母体内諸種栄養素の蓄積,或いは胎児及ひ胎児附属物の発育増大等のためにも,非妊時以上の栄養摂取が要求されることは想像に難くありません.中でも低栄養の際には妊婦に貧血,浮腫,脚気等の合併症のほか,流早死産,出血等の分娩障害が多く,一方胎児には発育不良,畸形,胎児死亡等が認められると云われますが,これ等の異常予防のためには,果してどの程度の栄養が必要でありましようか.
元来,栄養必需量を決定するのには労働,生活環境等の外的条件よりも,個人の体格,体質,特に消化力或いは吸收率の良否が根本的で,各個人に就き真の栄養必需量を決定することは仲々容易ではありません.
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