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肝臓疾患の食餌(その2)
西村 きみ
1
1荻窪病院
pp.45-47
発行日 1955年7月15日
Published Date 1955/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909874
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3.肝炎について
従来カタル性黄疸とか,単純性黄疸と呼ばれていたもので,ヴイールス感染であろうと云われており,この種の疾病が流行性に多く発生する場合に,伝染性肝炎と呼んでいます。そして肝炎の大部分は急性で,黄疸がはつきりと見受けられますが,時には潜在性のものもあります。何れも全身の倦怠感があり,胃腸障害等の症状がありますので,黄疸が見られない時には,結核とか,胃腸カタル等と間違えられ易いものです。絶対安静(肝血流量を減少させない為)と,食餌療法が大切で,食餌の方針としては,極く初期の場合は,糖質を主として,熱量,水分を制限したものを与えて,肝臓の休養を図り,次いで,高蛋白,高熱量,高ビタミン食餌を与えていきます。脂肪食は脂肪肝を起したり,肝臓に有害な物質を生じたりしますので与えぬ様にします。(胆汁が腸管内に注入されないと,攝取した脂肪は,40〜60%位しか利用吸收されず,且その吸收されない残余のものは,腸管内で分解して肝臓に有害な物質を作ると云われて居ります)。
黄疸のところで述べたと同じく,牛乳,バター,卵黄,クリーム等は,胆汁が腸管内になくともよく利用されますので,この様な乳化脂肪は与えても差支えありませんが,この乳化物でも,疾病の初期には制限する場合もあります。蛋白質はカゼインに富む,チーズ,脱脂乳,卵白等をとり入れる事が大切ですし,ビタミンは,B1,P2複合体や,Cを充分に攝取する様にします。
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