講座
妊婦と栄養—(その5)
中津 幸男
1
1愛育研究所母性保健部
pp.18-21
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200879
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8.ビタミンの続き
(ロ)ビタミンB1(サイアミン)
糖質代謝に必要で,又食欲を増進し,消化吸牧を助け,疲労を予防し神経機能保持の作用がある.
ビタミンB1の作用機転に就ては従来不明であつたが,近時の研究によりビタミンB1が酵素と密接な関係を保つて作用することが明かになつた.そうしてビタミンB1が生体内で酵素系に関与する際には共儘の型ではなくて,二分子の燐酸と結合したピロ燐酸エステルの型で作用するのである.さてこの生体内の附燐作用は何処で行われるかと云うと小腸上皮細胞で附燐され吸牧されるとする者もあつたが,その後の研究によりビタミンB1は小腸より物理化学的拡散に依て吸牧され主として肝臓その他で附燐され貯えられるものと考えられて来た.そうして必要に応じて再び遊離型又はモノ燐酸エステル型として他の組織に送られ,組織細胞内に入り再び附燐され酵素系に関与するものである.
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