連載 チーム医療を支えるリハビリテーション看護・第1回【新連載】
リハビリテーション看護からみる摂食嚥下の管理—必要な動作を引き出す看護アプローチ
矢野 聡子
1,2
,
吉良 淳子
1
Satoko YANO
1,2
,
Junko KIRA
1
1茨城県立医療大学保健医療学部看護学科
2茨城県立医療大学地域貢献研究センター認定看護師教育課程「摂食嚥下障害看護」
1Department of Nursing, School of Health Sciences, Ibaraki Prefectural University of Health Sciences
2Certification Program for Dysphagia Nursing, Community R & D Center,Ibaraki Prefectural University of Health Sciences
キーワード:
摂食嚥下障害看護
,
ブクブクうがい
,
生活動作
Keyword:
摂食嚥下障害看護
,
ブクブクうがい
,
生活動作
pp.1109-1114
発行日 2024年10月10日
Published Date 2024/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203246
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はじめに
リハビリテーション看護は,「疾病・障害・加齢等による生活上の問題を有する個人や家族に対し,障害の経過や生活の場にかかわらず,可能な限り日常生活動作の自立とQOL(生命・生活・人生の質)の向上を図る専門性の高い看護」1)と定義されている.筆者は,この定義の「可能な限り」という言葉が重要であると同時に,注意も必要であると考える.なぜならば,個々の看護師によるリハビリテーション看護の視点や実践によって,「可能な限り」の患者状態に相違が生じる可能性があるからだ.その結果,食べられる機能をもっているにもかかわらず,経口摂取できない状況や,自由に冷たい水を飲むことが許されない状況を生み出すおそれがある.
摂食嚥下障害は,食事に関連する生活上の問題である.そのため,「可能な限り」よい状態をめざして設定したゴールは,生活を支える多職種で共有されることが必要だ.チーム医療のなかで看護師は,患者の生命維持にかかわる身体状況を観察・アセスメントして整え,患者の日常生活行動に必要なセルフケア動作を引き出す看護実践・評価を行うことを役割としている.したがって,リハビリテーションのゴールまでのプロセスである日々の生活では,看護師の意識的なかかわりが有用だと考える.
本稿では,口腔リハビリテーションに関する看護実践・評価という視点から,生活行動の一つである歯磨き時の「ブクブクうがい」に着目し,その効果が摂食嚥下の食べる機能にどのように関連させられるかを概説する.
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